~右耳を誰かのために~

アウトプットも兼ねて、要約筆記者が発信します。

辛いのは幸せになる途中 ~『筆談ホステス』~

”辛いのは幸せになるため途中ですよ”

 

これは2009年に出版された『筆談ホステス』にあるワンシーンで、銀座でホステスとして働いていた斉藤里恵さんがお客様に向けた言葉の1つです。

自分に厳しい状況が続く今を「辛」と表現したお客様に対して、なんとかしてあげたいと思って棒を一本書き加え、「幸」という字に直したときに贈った言葉です。

 

 

 

東京都北区議会議員 斉藤里恵

2018年8月。

デフエンターティメント企画主催の斉藤里恵さんの講演会「私の生きる道」に参加しました。

saitorie.com

 

斉藤さんは2015年4月東京都北区議会議員選挙に立候補し、当選されました。

長野県白馬村議会で在任されていた桜井清枝さんに次いで全国で2番目の聴覚障害を持つ議員です。

こちらの記事でも紹介しました。

www.notetake.net

 

地方選挙において、特に区議選では個人のチラシの配布が禁止されており、筆談の掲示も広報チラシに該当する恐れがあるということで2015年当時は制限されていました。

2017年改正公職選挙法(2019年3月施行)により、現在では国政選挙と都道府県議会選挙のみに認められていたチラシの配布が市議会及び区議会議員選挙にも認められています。

選挙戦当時、斉藤さんは挨拶をしながら名刺を配り、その名刺の表面には点字、裏面には筆談スペースを設けた特徴的な作りでした。

議会では声のみの発議と議論になり、筆談は基本的に禁止されています。

そのため発議する際は音声読み上げソフトを使用して事前に作った原稿やその場でタイピングした原稿を読み上げ、音声同時翻訳ソフトに繋がったマイクが議会の全てのマイクに接続されており、パソコンに文字化されるものを確認しているそうです。

 

区議会では障害を持つ当事者による目線での改革に取り組んでいます。

議会の見学席には音声が表示されるタブレットが貸出されており、また北区役所には手話通訳者が常駐し、各会議での通訳を申請できるそうです。

 

斉藤里恵さんのキャッチフレーズは「人の心が聴こえる街に」です。

障害を持つ人が活躍できる場を作り、健聴者と共に働ける社会を作るために政治家を志し、立候補したそうです。

聴覚障害者は目から情報を得るウエイトが非常に大きいため、当事者によるヒアリング、当事者による発信を重要視されています。

情報保障において「どの程度保障するべきか」というのは私も感じることはあります。

音声認識システムにおいても要約筆記においても誤りをゼロにすることは非現実的であり、資料を確認すれば手話通訳を見逃します。

手話が分かる聴覚障害者は全体の10%程度です。

一方で障害者差別解消法が2016年に施行されたとはいえ、何にどの程度困っているのか分からない健聴者がほとんどだと思います。

 

筆談ホステス』と北川景子さん

筆談ホステス』が出版された2009年当時、私は大学3年生でした。

この頃は学内ノートテイカーとして活動している時期で、本屋さんで偶然見つけて、「お!!」と心の中で叫んだのを覚えています。

 

斉藤里恵さんは1歳10ヶ月のときに髄膜炎で高熱が出た影響で失聴しました。

入院中にお父さんが音を鳴らす玩具を鳴らしたのに振り向かなかったことに驚いたことで分かったそうです。

以降、ご両親は障がいがあっても迷惑をかけず、1人で生きていけるように育てるために、健聴の子供と同じように何でも体験させるために習い事にたくさん通わせました。

学生時代に服飾店でバイトをしたことがきっかけで接客業に関わるようになり、いくつかのバイトを経てホステスとして働くようになったそうです。

「耳が聴こえないのに水商売が勤まるのか? 」という周囲の不安を払拭する働きで売上を伸ばしました。

筆談はお客さんとゆっくりコミュニケーションを取るためのツールとなったり、お客さんが秘密の会話を楽しめたりと、落ち着いて飲むための手段として成り立つそうです。

 

まあ私は銀座の高級クラブで飲んだことがないので良さが分かりませんが(笑)

 

この本をドラマ化した番組が2010年1月にTBSで放送され、当時斉藤里恵さんを演じたのがモデルの北川景子さんでした。

番組のタイトルは「筆談ホステス ~母と娘、愛と感動の25年。届け!わたしの心~」でした。

official.stardust.co.jp

 

オンタイムで番組を拝見しましたが、北川景子さんがはまり役でぴったりだなと感じたことを覚えています。

以降、障害を持って乗り越える役を北川景子さんが演じる作品を見るようになりました。

最近では2014年に公開された「抱きしめたい ー真実の物語ー」です。

 

今回初めて斉藤里恵さんにお会いしましたが、めちゃくちゃ綺麗な方でした(^^)

上京する際に実家から唯一持ってきた本が『筆談ホステス』で、憧れていた人に会えたので凄く良い機会でした!

この日は本を持っていたのでサインをもらえばよかったと後悔しています。

今まで作家目当てにイベントに参加した経験がなかったので、タイミングを逃しました。

 

来年2期目を目指す選挙があるそうで、再選して今後も活躍してほしいです。